秋月のブログ

施設のブログ:山河

2022/05/16

3CDユニットの生涯現役?「古い物」

 

3CDユニットでは、ユニット生活環境の中で、入所者様がかつて使用していたもの、今となっては「古い」物、「使われない」物かもしれませんが、当たり前に使用していた物を備品とし用意しております。

現在大正中期~昭和初期・戦中派生まれの入所者様が多い中、「これ懐かしいわね」と思わず声を上げて頂けるもの中心に、また使用できる状態で用意しております。その中から何点かご紹介いたします。

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「鉄ばね」の扇風機です。東京芝浦製・昭和初期・戦前の物ですが、現在でも実働する扇風機です。昨今サーキュレーターや空調設備が普及・進歩する中、場所を取る「扇風機」を置く家庭は少なくなったように思います。が、空調設備が無い時代、昭和初期~中期にはこの「鉄ばね」扇風機が当時は主流。風速は3段階、なかなかの風力で戦闘機のプロペラを思わせる羽音、、ちゃんと首もふるんですよ!!実際に使用経験のない自分たちにとっては、「こんな鉄の塊が動くのか!?」とただただ驚かされるばかりです。夏など「かき氷」レクリエーションの際には傍らに回せば、実に生える一台です。

 

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と、こちらは「半纏」。正式には「印半纏」(しるしばんてん)と呼びます。昭和30年代辺りまで一般的に着用されていた半纏です。主に「職業」をあらわすものでして、特に職人さんはこぞって印半纏に職業と屋号を入れた様です。3CDユニットにおいてはキューポラのある町で有名な埼玉県K市ご出身の入所者様が、いち早くご指摘受け「あんた、、いい印半纏来てるね」と。「うちも鉄工所だったけど、、みんな印半纏きてたよ」と。自身の職業に対しての誇りと、屋号の宣伝と、粋をかけ備えた自己表現ツールだったのではないでしょうか、、、。今では「祭半纏」しか見ませんね。

 

 

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さて、こちらは戦前のコロムビア製・蓄音機です。蓄音機と聞かれても戦後生まれの私たちはピンときませんが、1950年代辺りまでは音楽を聴くには蓄音機で再生していたもの。実は蓄音機とは「ゼンマイ」可動でレコード盤を回す仕組みなっています。後に「電蓄」(電気蓄音機)が普及するのは戦後の事、戦前は皆1枚のレコードも聞くのに毎回ゼンマイを巻き、再生していたのです。

昨今、ブームになったレコードは一般的にLP盤(ロングプレイ)と言いますが、蓄音機用レコードはSP盤(スタンダードプレイ)と言われ、回る速度と収録曲時間にも違いがあります。SP盤の場合、1面1曲、約3分半の再生、針に至っては1面1本とされているから、なんて贅沢な再生でしょう!ここでも以前入所者様よりご指摘があり「その針は、、竹針じゃないよね」と。戦中は鉄の供出などがあり、鉄素材が品薄、ぜいたく品とされている時代。SP盤は鉄針と言われる針で、盤を削り再生する仕組みですが、鉄が無く竹を加工し盤を再生していたようで、、。さすが当時の知る入所者様。

3CDユニットでは、収集したSP盤の中より、お茶の時間などディック峰の「ダイナー」や藤山一郎の「東京ラプソティー」、淡谷のり子の「別れのブルース」等、針を下ろしまったりとした時間を過ごして頂いています。

 

 

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古い物ですが、入居者様にとってはかつて身近にあった物。ふとしたことで話のきっかけになったり、と回想につながる事が多々あります。回想法は高齢者の脳内の血流を活発にさせるとの報告もあります。高齢者の方には見慣れたものであり、かつて人生を謳歌してきた時代時代の物品をユニット内で活用できたならばと考えております。